(兼)肝疾患研究部長
(兼)肝炎情報センター長
考藤達哉
平成28年4月1日付で肝炎・免疫研究センター、研究センター長と肝炎情報センター長を拝命いたしました。
肝炎・免疫研究センターは、国立研究開発法人国立国際医療研究センター研究所の部門として2008年に設立され、平成28年5月現在、4つの研究部(肝疾患研究部、免疫病理研究部、消化器疾患研究部、免疫制御研究部)、1つの研究プロジェクト(ゲノム医科学プロジェクト)、肝炎情報センターで構成されています。
肝疾患研究部は、肝疾患の診断、治療に繋がる基礎研究、臨床研究を展開しています。ウイルス肝炎、脂肪性肝炎、肝硬変、肝がんなど、肝臓病の成り立ちや進行の仕組みを解明することで、新しい診断法や治療法の開発に繋げていきたいと考えています。また、私を含めまして、肝疾患研究部に所属する正木医師、村田医師、是永医師は、国府台病院消化器・肝臓内科での診療も行っており、ウイルス肝炎、肝硬変、肝がんに関する全国治験に参加しています。溝上前センター長は、C型肝炎に対する経口治療薬の全国治験の責任者を務め、その結果は日本肝臓学会のC型肝炎治療ガイドラインに反映されました。
免疫病理研究部、消化器疾患研究部、免疫制御研究部では難治性免疫疾患の病態解明と制御法の開発、ゲノム医科学プロジェクトではB型肝炎に対する創薬研究と肝疾患に関するゲノム研究を展開しています。
肝炎情報センターは、肝炎診療水準を全国的に向上させることを目標に設置されました。全国47都道府県に設置された計70の肝疾患診療連携拠点病院間の連携支援を基盤として、肝炎診療に関する情報提供、診療に関わる医療従事者、肝炎コーディネーターや相談員の育成など、重要な業務の遂行を求められています。また、日本の肝疾患対策のノウハウを肝炎患者の多いアジア諸国へ伝えるべく、世界保健機構(WHO)のテクニカル・アドバイザリーボードに加わり、アジア諸国でのフィールドワークも視野に入れています。
国立国際医療研究センターは、ナショナル・センターの一つであり、研究開発成果を社会に還元することに加えて、優れた医師研究者(Physician Scientist)を育成することも重要な使命です。臨床医の目で患者さんの抱える問題を掴みとり、それを臨床研究や基礎研究で解決していく、それは医師の研究の王道であり、社会が期待していることでもあります。肝炎・免疫研究センター肝疾患研究部では、現在、他大学の医師を研究者として受け入れており(平成28年5月現在5人)、国府台病院や共同研究病院の患者さんのご協力を戴きながら、研究を展開しています。他の研究部、研究プロジェクトには優れた研究者の方々が最先端の免疫研究、ゲノム研究を推進されており、基礎研究者との垣根が低く、密な共同研究が可能なことも当センターの強みです。これからも、医師として、研究者として、マインドとスピリッツに溢れた方々に広く門戸を開放し、成果を発信していきたいと考えています。