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胆道系内視鏡検査と治療
胆嚢、胆管、膵臓をまとめて胆道系といいます。肝臓で作られた消化酵素「胆汁」を十二指腸に運ぶ管が「胆管」であり、その胆汁を一時的に蓄えておくための袋が「胆嚢」です。膵臓は胃の裏側にある大きさも形もバナナの様な臓器で消化酵素を分泌したり、血糖値をコントロールするホルモンを分泌したりしています。どちらの臓器も食べ物の消化・吸収には欠かせない臓器です。胆石や胆管炎、膵炎など様々な疾患が発症する臓器であり、超音波内視鏡や側視内視鏡などの特殊な内視鏡を使用することで、胆道系臓器の検査・治療を行うことができます。
検査・治療の内容と検査件数(平成25年度)
- 胆道系治療(ERCP*1、ステント留置、採石術) 94例
- 超音波内視鏡検査 40例
胆道系内視鏡(総胆管結石の1例)(下部胆管癌の1例)
- 内視鏡を用いて、十二指腸にある胆管や膵管の開口部から機材を挿入して胆管や膵管の検査・治療を行います。胆道系内視鏡は病気の原因を検索する検査と病気による不具合を改善する治療に大きく分かれます。
- 胆道系検査内視鏡 開口部から造影剤を注入して胆管や膵管の形態を見ます。がんや石があると、その部位には造影剤が入って行かないので、造影剤が抜けて見えます。がんが疑われる場合は細胞の検査(生検)を行います。
- 胆道系内視鏡治療 造影によって見つかった石を除去したり、がんによって細くなった部位にステント(金属やプラスチックの筒)を挿入したりして胆汁や膵液の流れを改善します。
総胆管結石の1例(82歳男性)
- 造影CT検査:総胆管下部に径15ミリメートル大の総胆管結石を認めます。
- ERCP(内視鏡的逆行性胆管造影):ファーター乳頭部から造影剤を注入すると、総胆管内に長円形の15ミリメートル大の総胆管結石を認めます。
- 胆道系内視鏡を施行。総胆管結石を除去するために、ファーター乳頭を拡張用バルーンにて拡張しました(内視鏡的バルーン拡張術,EPLBD)。
- バスケットカテーテルにて総胆管結石を把持して、黄色調の総胆管結石を除去しました。
下部胆管癌の1例(62歳男性)
- MRCP検査:下部胆管に狭窄を認めます。
- ERCP(内視鏡的逆行性胆管造影):ファーター乳頭部からガイドワイヤーを挿入し、総胆管を造影しました。
- ERCPにて中部胆管から下部胆管にかけて6cm程度の狭窄を認めます。
- メタリックステントを下部胆管に挿入しました。
- ステント挿入にて狭窄部は拡張し、造影剤の流出を認めました。
超音波内視鏡(下部胆管癌の1例)
- 超音波内視鏡
胃カメラの先につけられた超音波装置で胆管やすい臓などを観察します。体の中から観察するので、細かいところまで検察する事が可能です。 - 超音波内視鏡下針生検
超音波内視鏡をガイドに細い針を使用して細胞の検査を行います。粘膜下腫瘍や膵臓癌など、これまでの検査では細胞の検査を行えなかった病変からの細胞の採取が可能です。
総胆管結石の1例(82歳男性)
- 膵尾部に径25ミリメートル大の腫瘍を認めます。
- 超音波内視鏡にて径25×20ミリメートル大の腫瘤を認めます。
- 超音波内視鏡下針生検にて組織を採取。膵がん(高分化型腺癌)の診断にて膵尾部切除となりました。
(文責 小飯塚仁彦)