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内用療法について

内用療法(核医学治療)について

体内に投与(静注、経口)した放射性同位元素(アイソトープ:RI)やこれを組み込んだ薬剤を用いた放射線治療で、核医学治療、内照射療法、RI内用療法、RI治療とも言われています。

がん細胞や甲状腺細胞を選択的に照射する治療で、現在日本で保険収載されている核医学治療は4つ(甲状腺がんとバセドウ病に対するヨード内用療法2種類、ゾーフィゴ治療)ほどあります。
当院では地域の病院や主治医と協力し、1.骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌治療(塩化ラジウム注射液、ゾーフィゴR治療)2.甲状腺がんに対する術後のアブレーション3.バセドウ病に対する内用療法 を実施しています。

治療をご希望の方は、主治医にご相談のうえ、予約の手順を参照ください。

1.去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)*の骨転移治療(ゾーフィゴ®治療)

α線(アルファ線)という放射線を出すアイソトープ治療薬を静脈に注射して治療を行います。本邦で初めてのα線放出RI内用療法薬で、外来で月1回、最大で6回の注射を行う治療です。

*CRPCとは:ホルモン療法や手術により、男性ホルモンの分泌が抑えられているにもかかわらず悪化する前立腺がんのことを「去勢抵抗性前立腺がん(きょせいていこうせいぜんりつせんがん)」または「CRPC(シー・アール・ピー・シー)」と呼びます。

転移のあるCRPC患者さんのおよそ10人中9人(90%)が骨転移を有していることが知られています。骨転移の初期はほとんど症状が出ないため、すぐに気づかれないこともあります。

しかし、病気が進行すると痛みや麻痺、骨折などが起こりやすくなります。

こうした骨転移に伴う症状は患者さんの生活の質(QOL)を低下させる原因になるだけでなく、生存期間にも影響を及ぼすリスクがあることが報告されています。

これまでの骨転移に対する治療は症状出現を遅らせたり、症状を和らげるものが中心でしたが、ゾーフィゴ治療では症状の緩和に加え、生存期間の延長も見込めるようになっています。

223Ra(ゾーフィゴ®)治療特徴

月1回の静脈注射(外来治療、4週間間隔で最大6回まで)

症候性骨関連事象発現が遅延

生存期間の延長

抗腫瘍効果あり

ホルモン剤との併用、ビスフォスフォネート製剤との併用可能

CTや骨シンチグラフィなどで骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌の患者さんの骨転移治療に用いられます

2.甲状腺癌に対する術後アブレーション

放射性ヨードの入ったカプセルを飲むことで、放射性ヨードを癌細胞に選択的に取り込ませ、これを破壊することを目的とする治療法です。甲状腺乳頭癌および濾胞癌が治療の対象となります。放射性ヨード治療には、①甲状腺癌術後の再発予防(術後のアブレーション)を目的として行う場合と、②甲状腺癌術後で、原発巣の再発、肺転移など原発病巣以外に生じた遠隔転移の治療を目的に行う場合とがあります。

当科では、甲状腺癌術後の再発予防を目的に行うヨード治療(いわゆるアブレーション)を実施しています。

アブレーション治療のまとめ

甲状腺乳頭癌、濾胞癌の術後の再発予防、術後の遠隔転移の治療として行います(当院は術後再発予防のアブレーションのみ実施)

治療前には脊髄麻痺などの重篤な副症状を避けるため、事前に全身の画像評価が必要です

放射性ヨード内服前には、治療内容に応じて4~2週間のヨード摂取制限と投与前2日間は注射のために通院が必要です

治療は外来で行います。内服日(投与日)から3日~1週間の休職が必要です

放射性ヨード摂取後には、全身の倦怠感のほか、吐き気、嘔吐などの消化器症状、耳下腺部の腫れ、痛み、唾液の分泌低下、味覚障害などの症状を生ずることがありますが、その多くは一過性の症状です

3.バセドウ病に対する内用療法

バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に産生されて起こります。バセドウ病の内用療法は、放射性ヨードのカプセル内服し、放射性ヨードを甲状腺細胞に取り込ませ、甲状腺組織を破壊し、甲状腺を小さくしてホルモンを産生する力を弱くする治療法です。この治療後多くの方は甲状腺機能低下症になります。その場合は甲状腺ホルモンを甲状腺ホルモン剤で補わなければいけませんが、甲状腺機能低下症の治療に使う甲状腺ホルモン剤には全く副作用はありません。検査も年に2回でよく、抗甲状腺薬の治療よりはるかに楽になる事が多いです

抗甲状腺薬治療よりヨード治療が勧められる方

抗甲状腺薬治療や手術を望まないとき

甲状腺腫を小さくしたいとき

心臓病や肝臓病などの慢性疾患を持っているとき

抗甲状腺薬で副作用が出現したとき

抗甲状腺薬中止後に再発したとき

手術後にバセドウ病が再発したとき

バセドウ病に対するヨード治療のまとめ

放射線ヨードのカプセルを内服する治療

治療前に一度甲状腺の大きさや甲状腺のヨード摂取率を測定し、どの程度の放射線で治療するか計画します

治療効果の判定には数ヶ月~1年程度かかります

1回放射性ヨウ素のカプセルを内服するだけで、一旦治療は終了

甲状腺の大きさによっては複数回の内服が必要